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両手の分散和音と3連音の受け渡しを、焦ってしまって、3連音のrhythmが全く3連音になっていない演奏をする人が多い。

指導者は、ゆっくりと手首を使いながら3連音を弾いたとしても、手の移り換えが十分に間に合うことを理屈だけではなく、生徒に実際に演奏して、手のmotion(動きの速度)が、如何にゆっくりな動きでも、ちゃんとテンポの中でshiftが間に合うのかを、演奏して見せなければならない。

 

ここまで来ると、実際に演奏して指導することが必要な箇所は殆どなくなる。演奏してあげるとしてもsuggestだけでよくなる。

 

次は29小節目のoctaveの話なのだが、28小節目のpiu crescendoから29小節目の3拍目のaccentを演奏してそのままcon forzaでoctaveを弾かなければならないので、con forzaが乱暴になって音楽的でない。私はoctaveを両手にして演奏させている。




特に右手のoctaveのaccentのDesから、次のoctave、Cの繋ぎが不自然に演奏している人が多い。CからEs,Desへのcrescendoを忘れてはいけない。そうすれば不自然なCを弾くことはない。

 

 

 

 

31小節目の左手の2拍目や4拍目に対しての引っ掛けの音が乱暴に演奏している人が多いもの困り物である。最初は16分音符のarpeggioを取って、ただの和音として、丁寧に右手の音符のrhythmに引っ掛けて(合わせて)練習するとよいだけである。前のどの音に合わせるかを、感覚ではなく、決めて練習しなければならない。

特に、35小節目からは前に出す音符の数が変わるので、前の6連音の6個目ではなく5個半の所に入れなければならない音符と6個目に合わせなければならない音符がいろいろ出てくるので、楽譜上で生徒に対してきちんと確認させなければならない。

 

次に37小節目からは、kadenzになっているので、(本当はkadenzという意味ではなく、eingang挿入句という)通常は日常的には挿入という意味はeinschiebungという単語を使用するのであるが、文献ではeingang(入り口)という単語を使用している。不思議だ!!

横道にそれてしまったが、まず、37小節目の二分音符の後の16分音符の6連音から、小さな音符に入った瞬間にテンポを無視して突然早く演奏する人が多いのだが、16分音符の6連音にaccelerandoが掛かっているのを忘れてはいけない。つまり、16分音符の6連音がだんだん早くなって、自然に小さな音符のテンポ(速度)に持って行かなければならないのだ。突然ではなくいつの間にか、kadenzに入っていたという感じになる。

このkadenzのfigurationは、左手が正確な指使いとbeatで演奏出来ているか否かが勝負の分かれ目である。先生が右手を弾いて生徒に左手を弾かせて見ると微妙にbeatが狂っているのが分かる。octaveであろうと、6度であろうと、3度であろうとscaleは必ず左手に右手を乗せて演奏出来なければならない。

長い37小節目の最後のdiminuendo e rall.と更にrit.の目的のテンポは38小節目のsotto voceの右手のAaccentからGis(強―弱!)の音である。つまり、rit.が38小節目の整合性がなく遅くなってしまってはいけない。

 

37小節目の後のDouble barからの、弱進行の和音の動きを経て、42小節目から、46小節目の爆発的なvolante(飛ぶような、軽快な、速い)に向かって、ベースの音階の下行進行が右手の広がりと反進行をしてpoco a poco crescendoと、音楽の広がりを見せる。印象的なpassageである。

46小節目の両手のarpeggioは幅が広いので、手を目一杯広げて演奏しようとすると、逆にmisstouchを誘発する原因ともなる。親指の力が完全に弛緩して手首を柔軟に保つことが、この大きな開離体の和音を演奏するコツである。

 

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