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Un poco piu mossoの53小節目からのphraseはよく誤解されて弾かれるpassageでもある。

Un poco piu mossoで左手が3連音で刻むので、Un pocoではなく、本当にpiu mossoに演奏されることが多い。しかも、melodieが両手の親指になっていて、しかもaccentがついているので、必要以上にきゃんきゃんとaccentをつけて弾かれる事が多い。Pでしかもdolceと書かれているのを忘れてしまっている。

Accentの意味はfigurationの中でmelodieを浮き立たせて演奏すると言う意味を言い表しているのに過ぎないし、優美なmelodieを意識して弾くなら、このphraseが乱暴になることはないと思う。しかもmelodieの最後の音のpassageである55小節目であるが、よく、2拍目の6連音からあたかも新しいphraseのように、右手の音を3連音のように新しく弾き直す人がいる。つまり、melodieが55小節目の1拍目で終わって、挿入された小節のように、新しく2拍目から大きな膨らましを(楽譜の下に書いたcrescendo記号のように)させて演奏する人がいるのだが、これは53小節からあるべき終止音のDesの音のない62小節迄の大きなphraseとして演奏する上では、形式上の統一性、これまでに出てきたphraseとの整合性の両面から見ても好ましくない。

53小節目からのthemaのmelodieの最後のDesの音が響き残った(laissez vibrer)様に、フェードアウトするような感じで弾くとよい。

 

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