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まあ、不真面目といえば、不真面目、手抜きと言えば手抜きかもしれないのだが、舞曲のtrioもrepeatが慣例になっているし、baroqueに限らず、古典派、ロマン派と、いつの時代でも、繰り返しは当たり前かもしれない。
Handelに至っては、Organconcertoの二楽章は、書いてある方が珍しいし、「楽章全体の構成」の例に見られるように、繋ぎの和音だけをorchestraに演奏させて、そこまでは演奏者が即興で演奏して行くのが、当時の慣例であったのだよ。


勿論、Telemannが自分で演奏する時には、仮に二楽章をrepeatして演奏したとしても、同じ楽章を繰り返したという事がバレないように、巧妙にVariationをしながら演奏したはずである。
そこは、餅屋だよ!!
当時の演奏家は、今の演奏家達とは違って、作曲家本人だったのだからね。
つまり、Telemannにとっては、即興は本職なのだからね。
わざわざ、即興を書く必要はなかったのだよ。

時代考証が分からないと、その状況が分からない・・という事がよくある。
即興を書く必要がなかった・・・という事について、老婆心ついでに、説明しておくと、baroque時代では、未だ楽譜を出版するという事は、一般的ではなく、楽譜の広がりは、未だに写譜に頼っていたのだよ。

Bachが子供の頃、お兄さんの所有する大切な楽譜を月明かりで写譜した・・という有名な伝説がある。その性でBachは晩年、盲目になってしまった・・という話がまことしやかに伝えられている。
楽譜が欲しければ、写譜をしなければならなかった時代なのだ。だから、楽譜は演奏する本人か、作曲した人しか持っていないのだよ。
私達が楽譜を調べる時に、「**の写本による・・・」という但し書きが書いてあるのは、その性なのだよ。
だから、完全に自分が演奏するだけの曲に関しては、当時の人達は、覚書に過ぎないメモ程度の譜面しか残していないcaseもある。

Mozartも作曲をする時には、reprise(再現部)は、省略して書かない場合が多いので、困ってしまう。
(右の譜例を参照の事)
実際に演奏する人は、Mozartに直接学んで演奏する分けなので、省略は困らないのだが、Mozartに直接質問をする事の出来ない私達にとっては、大変困りものである。








Telemannのoriginalの楽譜を演奏するとしても、例えば四楽章の入りをホンの少し変えるだけでも、かなりの変化があって、目新しく聴こえて来る。

右側の譜例は、冒頭のKontrapunktの音を和音に変えただけである。
しかし、それは、結構、効果的に響く。


また、些細な(kleinigkeit)ではあるのだが、同様に和音のpassageも次のように変奏すると良い。

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