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21小節目、この左側の小節はtuttiです。3拍目から1soloが始まります。

楽譜の記譜上では、そのままのtuttiで演奏するように指示されているのですが、それではsoloのviolinに対して、無理があるので、強弱をPと指定してあります。

しかし、それでも、不自然に聴こえてしまいます。

その理由は、通常baroqueのsolo violinの伴奏は、basso continuoになって、solo cello、(勿論、さもなくば、viola da gamba)とCembaloが、ワキを演奏する(伴奏する)のが普通だったからです。

という事は、幾らpianissimoで弾いたとしても、violinやviolaがorchestraの人数のままで演奏してしまっては、音が強く出過ぎて、不自然になってしまうのです。

つまり、basso continuoの基本原則は、soloの楽器に対しては、soloの伴奏でなければならないのです。
だから、教室のオケでは、練習では、全員が練習しますが、本番は(A)のPの部分からは、プルト・リーダーだけがsoli(soloの複数形)の演奏をする事になります。

同様に、VivaldiのこのOp.3Nr.6 のa moll曲も、soloの部分の伴奏に、soliという指定は、原譜にはないのですが、教室では、13小節目からのviolinとviolaはプルト・マスターだけのsoliで演奏させる事にしています。

それでも、violinとviolaの音がunisonなので、同じ音が2本づつで伴奏されるので、音は結構強めになってしまいます。
勿論、このscoreでは上から4段目のcello、solopartなのですが、12小節の3拍目からは、basso continuoのsoloになります。全員がsoloになるので、とてもバランスがよく、響きます。
教室で作成したscoreでは、basso continuoのsolo celloと、orchestraのcello、Kontrabassは別の段に書かれています。
それはVivaldiの時代には、tuttiからsoloへの移り変わりのorchestra partの最後の音は、soloの音として書かれているので、最後の音の長さが書かれていません。それで、勘違いをして演奏するorchestraが多いからです。
この文章をクリックすると、V楽章のorchestraからsoloに移り変わる小節のoriginalの譜面の例を参照する事が出来ます。

Cembalopart作曲芦塚陽二(中級version)

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