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私の音大時代とbaroque音楽

recitativosoloの話に戻って

私が、Vivaldiに、そういった独特のsenza vibratoの演奏表現を用いたのは、昔々の未だ学生時代からの、baroqueの音楽が一般に広まる前の、とても早い時期でした。

私は音楽大学の学生であった頃から・・、そういった、凍りつくような、senza-vibratoの奏法を用いて、baroqueの演奏をしていたのですが、勿論、その頃は,「period奏法」という言葉すらない時代であって、「Vivaldiの四季」が世界の音楽界で再発見されて、Felix Ayoの率いるI Musiciによって、 世界で四季ブームが起こった頃のお話です。

当然、baroque音楽の演奏と言っても、通常の現代の奏法で、普通に演奏するのが、当たり前の時代なのでしたが、それでも、Renaissance時代のviola da gamba等の奏法は既に知られているので、その影響もあって、そのVivaldi特有の独特のpassageを、Renaissanceの奏法で、senzavibratoで、recitativoのように、訥々と演奏するように、音楽大学の学生の頃から、そういった奏法を要求していました。
これは、根拠があってからそうしたのではなく、単なる思いつきだったのですがね。

音楽大学の1年生の頃、夏休みに帰省しない学生達や、協力してくれる先生達を集めて、私の私設orchestraを作って、Handelのcantataや、Bachのcantata等の曲を練習しました。目標は大学祭での発表です。
その練習風景で、練習の場所は、大学最大のホールであるBeethovenホールです。
普通ならば、Beethovenホールは学校主催のイベントにしか使用出来ません。一般の学生の練習に、Beethovenホールを貸し出す事は絶対に無いのですがね。・・どうしたのだろうね〜ェ??

Bachの珈琲cantata等を、自分でpart譜を買い込んで来て、私の個人的な勉強のために、音楽大学の先生や生徒達(院生や卒業生まで)を集めて、練習していました。
今にして思えば、結構な独裁者ですな〜ぁ!!



勿論、大学のorchestraを指揮させて貰える・・という事は、例え指揮科の生徒であったとしても、通常は有り得ません。
それに、当時は指揮科すら大学にはなかったのですから、幾ら、副科の勉強であったとしても、つまらない、枠の練習のみの勉強であって、当然、指揮の勉強にならない・・という事は、分かり切った事だったのです。
だから、本当の指揮の勉強をするには、自分で、orchestraを編成する他は無かったのですよ。
まあ、指揮の勉強がつまらないから・・と言って、そこ迄やる学生もいないとは思うけれどね・・??


baroqueの音楽なので、当然、本番ではbasso continuoには、大学のCembalo( Neupertのmodern-Cembalo)で演奏しましたが、その当時は日本には、Cembaloが未だ国内に2,3台しか無かった貴重な時代でしたよ。

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