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baroqueの奏法から古典派の奏法へ
次は古典派の奏法の話になっていきます。

弓がTourteの弓に代わるのは1790年の事なので、それまでは、基本1点支持の持ち方しか有り得ません。
という事で、baroqueの奏法と古典派の奏法には、大きな違いはありません。
表現力が増えて、色々な古典派特有の奏法が加わるだけなのです。
音楽表現の基本、基礎はbaroqueと古典派に尽きるので、古典派のDittersdorfやStamitz、HaydnやMozartの音楽を演奏する時には、子供達も含めて、period奏法の演奏法を採用しています。
当然、baroqueのsyncopationのbowや、抜きbow等、音楽大学の学生も学ばない事を小学生の時から勉強しています。

どうして、音大生ですら、勉強する事は絶対に無い、そういった、世界の頂点の奏法を年端も行かない子供達に指導し、演奏させるのか??と言う事は、人生の無駄を極力省くという事なのです。
proへの一番の近道は、そういった一切の無駄を省けば良いという事なのです。

宮本武蔵のお話同様に、無駄を省けば、最初からproの奏法を勉強すれば、大学生になって演奏出来ない曲が存在する・・・という事は絶対にありません。

私が音楽大学で生徒を指導するのを諦めたのは、学生の3点支持を1点支持に直す事は不可能だと分かったからです。
1点支持から、3点支持には、一瞬で移行出来ます。
しかし、3点支持から1点支持に直す事は至難の業なのです。
山登りでも上から下へ落ちるのは簡単ですが、一旦落ちてしまうと、もう一度登り直すのは、大変な気力と努力が必要になるのですからね。
人間は簡単な、安易、安直な方向へは一瞬で行きます。
幾ら正しい道であっても、一度安直な人生を学んでしまうと、その道に戻る事の出来る人は殆どいません。

これは、音楽の話ではなく、人生の話なのですよ。

教室の合宿でも、余りにも先生達が大変な思いをしているので、
「仕出しのお弁当を取れば・・?」とか、adviceをしてくださる保護者の方達がいます。
しかし、子供達の味覚は鋭いのです。
ほんの少しだけ、保護者の方達が味付けを手伝っただけで、ブーイングが出てしまうのです。
「このお味噌汁、美味しくない!!」
味を付けた保護者の人が横に居るのにネ??

また、子供達に新しい曲を紹介する時には、名演奏家のCDの録音による演奏ではなく、先輩達、上級生達の初見演奏で、自分達の課題曲を紹介して貰います。勿論、例え初見であっても、目標tempo、つまりintempoで演奏します。

よく、一般の人達に、私達が教室の「初見大会」の話をすると、一般の人達は、
「有名な演奏家のCDを聴かせれば良いのでは・・?」と、聞いて来ます。
でも、それは根本的な考え方が違います。

先輩のお姉さんが演奏するから、子供達にとって、価値があるのですよ。

それで、演奏出来ない生徒はいません。
中級の生徒達からは、上級の先輩達と一緒に、その曲を初見で演奏します。楽譜をぱっと見せられて演奏するのだから、自然に初見の能力は育って行きます。

学校のような
見てくれの(見せかけの)curriculumではなく、実践のcurriculumなのです。

職業学校の職業訓練と同じなのですよ。
右上の写真は、自治会館での楽譜渡しと初見大会の風景です。
先輩のお姉さん達がプルトに一人づつ、一緒に演奏して、初見の補佐をしています。
勘違いをしてしまいそうですが、先輩のtopの生徒が指導しているのではありませんよ!!
オケに参加しているお姉さん達全員が、初見演奏と指導をしているのです。
これが教室の水準なのですよ。




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Vivaldiのrecitativosolo奏法

Vivaldiのこの曲の「recitativosolo」の部分です。
勿論、「recitativosolo」というのは、一般的にはcantataという音楽のgenreに使われる楽曲に対しての言葉であり、concertoでRecitative soloという言葉が使われる事はありません。
一般的な音楽用語として、・・・ではなく、私の造語であり、教室専用の音楽用語なのです。(Vivaldi等のconcertoに対して使用する場合には・・という意味です。)
cantataではrecitativoAriaという言葉で、呼ばれています。
そういったcantata等のrecitativoとは全く別の意味で使用しています。

このpassageをsenza vibratoで演奏するのは、演奏する側の生徒にとっては、horrorに等しい恐怖心が起こります。



同じ、このOp.8Nr.11の1楽章の次のrecitativosoloの部分です。
一見すると、そんなに難しい事をやっているようには見えないのですが、実は二つの超難しい課題を熟さなければならないのです。

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