思春期シンドローム (思春期症候群)


私が、教育の問題等で父兄に頼まれて、公開講座などをやって、一番困ることがある。

つまり、公開講座やネット上でのお話は、それが子供達への教育に関するアドバイスであったとしても、そのアドバイスは特定の個人に対してのアドバイスに過ぎない・・という事なのだ。

ある人にとって、私の「Aというアドバイス」が、その人にとっては、幾ら「正しいアドバイス」だとしても、その公開講座を聞きに来た別の人にとっては、「Bというアドバイス」の方が適している・・・ということが、現実的には、いくらでもあるから・・なのだ。

夢の正しい持ち方へのアドバイスは、あくまでその人(家族)が、将来に対して「如何なる目的と、どのような夢を持っているか?」によって、そのadviceが自動的に決まってしまうのだ。

つまり、総ての夢や目標に効果のある万能のアドバイスというものは、存在しないのだよ。
だから、私が、公開講座で、私の個人的な見解を持ち出す事は絶対にないのだよ。
夢はあくまでも、その人(家族)の持つ夢であって、私の夢や考え方とは全く関係がないからなのだ。
その人の夢が叶うか、否かは、その人が考えているその夢を叶えるための条件と、その夢自体の条件がちゃんと、合っているかどうかによる。
私が講座を開いているのは、音楽教室としての立場からであり、学校で総てのテストで100点を取る方法を教えても、それを信じる人はいないだろう。
実践している子供達が何人いて、確実に成果を上げていたとしても、それが私の教育法によるものだとは、家族は気づかないだろうしね。それは学習塾の役割で私の知った事ではない。
・・・事、音楽に関しても、その勉強法は、目的によって全く違う。
例えば、音楽との関わりが、
@単なる、小学生の時の趣味と教養に過ぎない場合
A趣味であっても、高校を卒業するまで、ある程度、(学業の邪魔にならない限り)一生懸命にやりたい場合
B音楽大学に進めるのなら、音楽を専科として学んでも良い。
Cコンクールや留学、音楽大学は芸大を考えている。
D音楽で生活をしていきたい。proになりたい。

この例であるが、@とAは兎も角として、BからDが分かれているのは、一般の人達には、多分、理解出来ないであろう。
一般で音楽を学ぶ場合には、有名私立音楽大学を目指すのなら、小学5年生ぐらいから、ちゃんとした先生の指導の下で、音楽の勉強を始めなければならないし、それは、専科の教科だけではない。楽典やsolfege等、音大の進学に必要な教科を全て、専門の先生について学ばなければならないのだ。
音楽大学を進学したい人へのアドバイス

CはBと同じではないのか??と思われるかもしれないが、Bは、一般の音楽を目指す人達のお話で、その延長線上には音楽で、生きていける・・という事はない。あくまでも、お金持ちのお嬢様のお稽古事の話である。
もし、芸大を目指すのなら、(これはあくまでも一般論なのだが、)小学校に入学するよりも前に受験のための勉強を始めなければならないし、毎日、4時間以上の練習を1年365日全く休まず、練習しなければなりませんよね。
中学受験のために、或いは、高校受験のために、塾に通いだしたら、音楽大学進学はやめた・・と判断しなければならない・・と言う事は、私が言っている話ではなく、音楽を指導している先生で、音楽大学に入学させている先生達(この条件は、殆どの音楽の先生は、喩え一流の演奏家であったとしても、自分の生徒を音楽大学に入学させる事が出来ない先生が多いからです。音楽大学進学は一般論では出来ません。ちゃんとしたcurriculumがないと合格させる事は出来ないからです。)は、この条件をとても大切にします。また、音楽の子供達を指導する講師用の指導書にも、受験が前提となった途端に、全く別のお話が始まります。
一般教科の勉強で、一度失った音楽へのNiveau(水準)やmotivationは、二度と戻る事はないからです。勿論、受験直前には、練習量も致命的に減ってしまいますしね。
その段階で、専科の技術が高ければ、目標を下げて受験が可能かもしれませんが、最初のNiveauがBであった人達は、音楽大学に進学出来る事はありません。
Cの人も殆どの人が、高校受験で、芸大への進学を諦めています。
ましてや、Dは、全く別の世界です。
これは、子供の内からproとして、勉強していかなければならないからです。
フィギアの真央ちゃん達を見れば、その子供の内からの、人生をそれだけに賭けた人達の生き様は見えて来ます。
これは、目的と生き様がシンクロしないと、その夢は叶わないという、proの世界の話です。
正しい夢の持ち方



ということで、子供の成長に伴う将来の夢が、一般の大学の受験である人に取っては、アドバイスは学習塾の先生に貰うべきで、私達のアドバイスは、音楽で可能な限り努力して見たい??という人達へのアドバイスなので、子供の将来の目的が、AやBの人達へのアドバイスという事なら、共通のアドバイスが色々とありますので、公開講座と開く意味はあります。

CとDに関しては、非常に特殊な人なので、あくまで、個人のアドバイスであるべきで、目的が全く異なる人達が集まっている公開講座で、そのお話をする事は、全く無意味です。

東京の講座の時の、私がしたアドバイスも、あくまで質問して来た人への、その人個人の夢に対してのアドバイスなので、次の質問者には、全く反対のことを、(前の人には「絶対にやっちゃいけないよ。」とアドバイスしたことを、)次の人には「こうしなければいけません。」とアドバイスしなければならないのは、公開講座が、マンツーマンという個人を対象とした話ではなく、ある程度複数の人達を対象としている限り、質問に対しての回答が、私が以前、お話をした事と、全く食い違うお話をしたとしても、それは、当然なのだ。

特に、この論文の冊子や、或いはネット上のホームページのように不特定多数の人が読むかもしれないページに於いては、私の一つのアドバイスが、それが、私の唯一の考え方であり、あたかも「私の唯一無二のアドバイス」そのもものように思われて、教室の周りの人達に誤解されていることは、ある意味、私としては、心外である。

つまり、くどいようなのだが、あくまで私のアドバイスは、質問者や、はっきりとした目的を持った人達へのアドバイスとして捉えて、その私の回答は、質問者の将来の目標や、夢と、質問者自身の今の状況から、私がその人にとっての、ベストの回答として答えている・・・アドバイスをしている・・・ということを、含んで読んで、もらえると有り難い。

という事で、今回、本田先生から、「こういったthemaでお話をして欲しい。」という、申し出があって、そのお題に従って、お話をしよう・・・と、いくつかの逸話などを準備して、講座に望んだのだが、来られている人達の顔ぶれを見て前日に準備してきた話が全て無駄になったことが分かった。

つまり先生から貰った「お題」と子供の年齢層が合わなかったのだ。

ということで男のお子さんをお持ちのお母様には申し訳なかったのだが、急遽、女の子の思春期症候群の話をすることにした。



公開講座「思春期の女の子」

2003年9月6日

練馬区光が丘区民センターにて

今日は実は本田先生に二つ程テーマを貰ってきていたのですが、そのテーマは個人的なものなのでマンツーマンでお話しした方がよいように思われます。
講座というと一つのテーマで一つの正しい回答があるように思われがちなのですが、実際にはそれぞれの家庭の考え方が異なれば回答もそれぞれに変わってきます。
ピアノのお稽古(レッスン)一つ例にとっても音楽大学に進学したい人、或いは音楽を職業としてやっていきたい人と、音楽を生涯の友として、(趣味として)学んで生きたい人とは勉強する内容や、考え方も違います。
ということで私の場合相手の夢を実現するための方法論が相手の夢に合わせて作られているので、一つとして同じ回答はないのです。
たくさんの方が同席されている、こういった場所ではお子様の年齢や人生の目標がまちまちであるにもかかわらづ、会場の皆様に合わせたおしゃべりが一つであるということは、そのおしゃべりのテーマがおのずから限られて来るのです。
今回の集まりは、リハーサルのプログラムを見ると5,6年生から中学のお子様をおもちのかたが殆んどですよね。
今日はどんなテーマでお話したらいいですか?

「先生、うちの子、そろそろ思春期なのかな?・・・と思っているのですが、先生が前におっしゃられていた思春期症候群について、お話していただけますか?」

分かりました。
では始めましょう。
とはいっても、男のお子様だけをお持ちのお母様にとっては、男の子の場合には、思春期症候群はないので、あまり勉強にはなりませんが、お話として聞いておいてくださいね??

昔、教室の生徒たちの進度を表すグラフを作ったことがあります。
縦軸に勉強した曲の技術レベル、横軸に入会時からの年齢(学年)をとって一人一人の発達段階を示しました。
コツコツと、毎日、規則正しく練習していたとしても、生徒の技術の成長、所謂、伸びは、一様ではありません。
コツコツの練習が、ある程度、積み重なって来たら、ある時に突然、化ける・・というか、上達するのが一般的なのです。

女の子はあるとき急激に技術が伸びて行くのですが、思春期を迎えた途端極端に下降します。思春期が終わると少しは元に戻るわけですが、思春期前の状態に戻れる子は稀です。
それ以降は劇的に伸びるということは殆んど有りません。
それに対して男の子は面白くないほどなだらかな上昇線を見せます。極、稀に高校ぐらいで(本人が音楽に進学しようと決心した時などに)劇的な上昇を見せることがありますが、それは例外中の例外でしょう。
小学の低学年でも男の子はいくら不器用で演奏(練習)がうまく出来なくとも、理論で納得させておくといつかは、自分で出来る様にしていくことができます。
今出来なくとも、理論さえ納得できれば良いのです。
これが男の子を指導する秘訣です。
私が、男の子でも、女の子でも、年齢が低い子供達にも、大人と同じように難しい事を、或いは難しい言葉を言っているのを、不思議に思う人達が多く見受けられますが、それは、4年生、5年生ぐらいになって、語彙や情緒が成長した時に突然、理解してくれる、瞬間があるからです。
でも、その疑問を提示しておかなければ、その時に理解出来るようになる事はないのですからね。

それに対して女子児童の場合は先生や親の緻密なコントロールが必要になります。
器用で、言う通りに練習出来る様に指導が出来たとしても、「学校で友達と喧嘩した」・・とか、実にくだらない事で、一瞬で今まで積み上げてきたものが全て壊れてしまうことが、女の子の場合には、しょっちゅうあります。
先生や親の忍耐力が女の子の教育をする上での秘訣といえます。
そしてその積み上げたものを一瞬で壊してしまう大きな原因となるのが、一つは思春期問題であり、その次には異性(ボーイフレンド)との交遊です。

(この講座を開いていた頃は、未だスマホや携帯というものはありませんでした。小学生や中学生の、未だ、社会というものを知らない年齢で、ラインという、友達同士で会話する事で、子供の悩みを、目標のない、子供同士で相談しあって、道を外す子供が多いのには、参ってしまいます。子供達に取っては、お友達や親兄弟以外の身近なボーイフレンド等が、お互いに未熟なままに、社会のなんたるかも知らないままにアドバイスをして、そのせいで、道を外したとしても、その責任を取ってくれる分けではないのです。本当に無責任時代なのですよ。)

 

ちょっと、話を元に戻して、思春期とは何か?・・・という事を、辞書的に言えば、言葉通りに、小学校の高学年頃から始まる第二次性徴と異性への性欲的関心の表れる時期です。
感受性などが著しく芽生え始め、個性の認識や巣立ちに対しての不安など著しく動揺を来たす時期でもあります。
第二次反抗期とも呼ばれています。
・・・・・・でも、まあ、これくらいのことは、ご存知でしょうし、何の本でも調べることが出来ますね?

また、ギャング・エイジとしても、社会性を身に付けるために、ひたむきな、自分自身への努力、・・つまり、自分個人の努力よりも、お友達と連んで、遊ぶ事を楽しむような時期です。
音楽をやっている生徒達は、学校の部活に憧れて入部して、抜けられなくなってしまって、音楽大学の進学を諦めた生徒達も多数います。

塾や、学校の勉強に落ちこぼれた生徒が、街のチンピラの仲間になって、道を踏み外して行く時期でもあります。
つまり、自分と共通の認識が出来る仲間とグルーピングする時期なのです。

これは一般的な思春期の概念ですし、男の子、女の子に共通した思春期の特徴であります。

しかし此処に本には書かれていないことがあります。それは所謂女の子の初潮の時期と思春期症候群と言われる情緒不安定に陥る時期が必ずしも一致しないことなのです。
指導上の経験では大体生理より、1年位先行するのが1番多いようですね。
初潮の始まる1年くらい前から、体が常に熱っぽかったり、本当に微熱が続いたりした状態になる子もいます。
そこで内科の先生とか連れて行くと「健康で別に問題はありません。」と帰される。
色々病院廻りをした挙句、女医さんの病院に連れて行くと「これ思春期熱ですね。」と言われ、成長期に起こる自然な熱だから仕方がありませんとか言われて終わりです。
勿論薬も出ません。
まして男性の医者の場合は全く分からない、思春期熱のことは知らないんですよね。
男性は、思春期症候群は、体験したことがないもんでね。

この問題が、意外と一般には、知られていない原因は、この事象が教育学的には生理学に寄り過ぎていて、病気として捉えるには心理学的でありすぎて、という風に教育学と心理学、医学のちょうど狭間の位置に、この問題があるからなのです。
というわけでこの分野の研究は殆んどなされていない。(少なくとも25年前には)

経験上では初潮を迎える時期が早ければ早いほど情緒不安になることは少なくて済みます。
今の女の子で初潮を迎えるのが早い子では、小学2,3年生でもう迎えている子供もいます。
その場合には思春期症候群といった情緒不安の時期は来ないことが多いようです。
逆に中学2,3年生で初潮を迎える子や、極端な場合、肉体的には完全な大人であっても医学的に子宮が未発達で、25歳から30歳近くになってやっと子宮が成熟した人もいます。
勿論大学病院での話で例外中の例外ですが。

より遅く(中学1,2年生以降で)初潮を迎える場合には、情緒不安の時期は極端に長くなり半年から長い場合で1年位思春期症候群が続いた生徒も数多く見受けられます。

思春期の色々な症状が大きく現れる子供とそうでない子供の格差は大きく、「そんな時期、私は経験したことはないわ。」とかいう生徒もいますし、母親にしても「私も子供の頃にそんな経験をした憶えはないわ。」とか言われる人も数多くいます。

それは女性の更年期と同じで、大変つらい思いを経験された方も大勢いらっしゃると思いますが、全く何事も無くその時期を通過された方も結構多いのです。
だからといって「更年期は存在しない。」と言われる方はいらっしゃらないと思います。

また、思春期症候群の場合にはその子の本来の能力が低下して行くわけなので、最初からあまり物事に一生懸命にならない子供の場合には、所詮毎日をその子供の能力の60%で生活しているわけだから、それから、さらに20パーセント、25パーセントかが、無くなったとしても、たいした変化は見られないわけです。

何時も100点を取る子供が60点しか取れなくなったとしたら、親も先生も心配するでしょうが、何時も60点しか取れない子が50点を取ったとしても、「調子悪かったのかな?」としか思わないでしょう。
つまり、思春期症候群は、一生懸命に、常に100%で、生きている小学5,6年生から、中学1,2年生迄の女の子に起こる症状であって、努力もしない、ダラダラと人生を送っている子供達には、生理が来ても、思春期症候群は起こらないのですよ。
単なる生理による、体調の不良なのです。
それは、寝れば2,3日もすれば、治ります。
思春期症候群の場合には、通常、半年、長ければ1年以上持続してしまうのですから、その違いは明白です。

 

ではどうして思春期症候群のようなものがあるのでしょうか?
どうして女の子にだけ強く現れてしまうのでしょうか?

人間の体は、幾ら人間が万物の霊長といっても、所詮は全ての生物の中のひとつの存在にしかすぎません。
生物(の全ての機能)は子孫を残し増やしていくために存在する(器官である)といっても過言ではありません。
男の体や男や女の体の中で幾つものバリヤーで守られている器官は唯一「子宮」だけなのです。
私達が一番大切に思っているはずの頭脳などは、実は生物学的(医学的)には、何のガードもなされていません。
ましてや、男性などの諸器官は、ひょっとしたら、女性のあばら骨を作った時の余りで作ったのではないか??・・と思われるほどのお粗末な作品です。
これは自然界の全ての動植物の定理です。
女の子がある程度成長を遂げて、時期が来ると、体は全ての器官の能力を必要な迄に、思いっきり下げて、体の全エネルギーを、子供を作るための、子宮を完成させるために、使ってしまいます。

生存に必要なエネルギーを全て持って行かれた他の臓器は悲鳴を上げます。

それで、何とか、自分自身で対処して、自分の能力を落とさないように必死にします。
その結果が、発熱や頭痛、その他の色々な諸症状になって現れてくるのです。
運動能力が極端に落ちたり、記憶力や集中力など、或いは判断力、分析力なども著しく低下します。

それまで一生懸命勉強していて学校とか塾とかで1番や2番を取っていた生徒が、怠けているわけでもないのに、突然1週間もたたないうちにあれよあれよと、10番や20番位まで一気に下がってしまう。
生徒自身は、「何とかしなくっちゃ!」と一生懸命勉強するのだが、なかなか集中できないし、覚えようとしても覚えられない。イライラして親に対して八つ当たりをしたりする。

@女の子に取っての、体の成長の一番大切なその時期が、日本の6,3,3,4の教育制度に、モロ、当たってしまいます。
女の子が、中学生になったばかりだとすると、新しいお友達、新しい先生、新しい中学という環境の変化、それだけで、大変な、問題なのに、それ以上に体が、なかなか環境の変化を受け入れてくれません。
それに、先程お話した、ギャング・エイジです。
それは子供自身の社会性の問題ですが、親も、中学生になった我が子を、突然、大人として見たり、未熟な子供として見たり、という、どういう風に子供を扱って良いのか、分からない時期でもあります。
子供の夢も、小学校の時には、子供の可愛らしい夢として捉えて、その夢の現実性は希薄なのですが、中学生になった途端に、夢と高校の受験、大学の進学として、具体的になってしまって、狼狽えてしまいます。
でも、子供が、その夢を実際の、自分の高校を卒業して、大学を卒業した後の、仕事として捉えられるのは、早い子供でも、高校生の夏休み開けの頃からなのです。
両親が子供の将来の問題を一つの将来の夢としてではなく、社会の現実として子供をみるように変わってくる中学生の時期は、子供は未だ、未熟で親の庇護下にあるのですよ。
「自分の事は、自分でやりなさい。」
それを子供がそうしたら、「何かする時には、ちゃんと親に相談しなさい。」
這えば立て!立てば歩めの親心・・・・ですよ。

それまで子供を見るときに子供の才能や潜在能力などをいかに伸ばすか、育てて行くかが考えの中心であったのに対して、突然身近な学校の成績や、高校受験、大学受験のことが親の関心の全てとなってしまいます。
それまでは「ちゃんとピアノ練習しなさい。」とか行っていたのに、突然、「塾に行かなくっちゃ!」とか、「学校の成績が・・・!」とかを、言い出して、子供が真面目に、今までの親からの教育の通りに、ピアノの練習をしようとすると、「テストがあるんでしょう??ピアノの練習はやめて、ちゃんと勉強しなさい!」
これじゃあ、子供はたまらんよね??
子供にとっては今まで親と共に見ていた将来の夢を突然否定される分けなのですから。
親の言うことがそんなにころころ変るんだったら子供にとっては「今まではなんだったんだ。」ということになりますね。
挫折を扱った講座で触れている家庭内暴力などの原因で一番多い原因がこういった風に親の教育方針が子供の年齢と共に変わることで子供からの信用を無くすことで生み出されます。
もう一つは親が子供を把握しているという全てのことが、ただ単に「勉強しているか?」とか「成績はどうか?」とか言った事だけに集中してしまい、子供の日常は(親友の名前は誰?とか今興味のあることは?と言った事を全く把握しなくなってしまいます。)
これらのことも挫折の講座に詳しく説明しているので興味のある方はそちらのページを見てください。
(これは、冊子のお話なので、ホームページ上では、公開はしていません。挫折のお話なので、先程も言ったように、その家庭が求める目標は何だったのか??という事が、分からないと、その挫折に対しての適切なアドバイスは出来ないからです。もう一つは、挫折の問題は、SNBP(負の転換点)のお話の時に、詳しくしましたが、挫折をする前に子供を助けてあげなければならないのですが、親は、子供が挫折するまで、その事を気づかない・・・というか、子供が挫折したとしても、それは親の教育の間違いの性である・・とは、絶対に認めないのです。それが普通なのですから、解決法はありません。「私は悪くないし、私は子供の教育は一生懸命にやった。それで、子供がおかしいのは、子供が悪いからだ。」 総ての親はそう言っていて、周りの人達が断罪するのを、自己弁護しています。そんな、もんよ!!!・・・・暗澹冥濛!!!)


Aうちの子はとても立派で、小学校で学校の勉強やピアノの練習、放課後は塾の勉強にetc.子供はひたすら親の言う通りにけなげにも頑張っています。
絶対に私だったら耐えられないと思いますが、ひたむきに親の言う通りに頑張ります。
親も子供と一緒に塾への送り迎え、ピアノのお稽古の練習の手伝い、学校の勉強の下見、など涙ぐましく頑張っています。
素晴らしい親子関係ですね。
何処の子供の話かな?

ところが中学になったとたんに母親は「大人なんだから全て自分で判断なさい。」と突っぱねる。「もうとても私はついていかないから。」
しかし、自立させるためにはそれなりに少しずつ自立させるための訓練がいるのです。
少しずつ長い期間をかけて訓練していかなければなりません。
中学になったから‥と言っても、突然、大人になるわけではないのです。
体の発達と精神の自立は一緒ではありません。
それは育児放棄と呼ばれるか?または、ネグレクティブと呼ばれることになります。

先ほどもお話したように、問題をより大きくしているのが「6,3,3,4」という現在の日本の教育システムにあります。

何故なら女の子の初潮の時期がだんだん早くなって来ているからで、5、6年生で生理を迎えるのが普通になって来て、子供から大人への体の切り替えの女の子にとって一番大切な時期に、ちょうど小学校から中学校への進学の問題が掛かってくる。
また中学へ無事進学したとしても、「6,3,3」 ということで中学校に入ったとしても、1年生の時には学校に慣れるので精一杯だし、先生も生徒の一人一人の状況をつかみとれない。
また小学校から送られてくる、子供の所見が子供自身の著しい成長で何の役にも立たなくなっている。
子供自身はある意味でのギャングエイジで集団性に目覚める時期でもあります。
・・と言う事で部活などの皆で活動するものに興味が湧く時期でもありますが、活動的な時期でもあるので、朝早くから夜遅くまで目一杯にエネルギーを使い果たす時期でもあります。
その時期に体が変わる時期とタイミングがあってしまうと周りのお友達とペースを合わせることが出来ず、集団から批判されたりスポイルされたりして悲惨な結果を生むことがあります。
その結果、最悪の場合には登校拒否などになってしまうケース見受けることがあります。

小学校の部活などは殆ど遊びの延長線上で当然小学生と言う事で学校からの帰りも早く、子供に負担を強いることはありません。
しかし、中学の部活はいろいろな意味で子供に負担を強いることが多いのです。
その一番の理由は中学生を指導する学校の先生が、いろいろな意味で足を踏み外しやすい中学生活で子供達をわき目を振らないようにするために、一途に何かに集中させることを目的として指導するからなのです。
中学生活で一番ライフスタイルを崩す原因となるのは言うまでもなく異性関係です。
エネルギーを使い果たせば、そういったことで子供達が人生を狂わせる事はありません。
ですから中学生の女の子は塾で猛勉強しているか、部活に燃えまくっているか、というどちらかが殆どでしょう。

いずれにしても中学3年になると高校受験で必死にならないといけないし、一番体の変わるその時期に僅か2年位でまた受験勉強と云う事になる。
つまり一番精神的に動揺する時期に心のケアーをする態勢が何処にもないのです。
しかも親も回りに同調して、成績のことや進学のことばかり、子供に質問して、子供とのコミニュケーションが出来たような錯覚に陥っている。
だから中学生で子供達がおかしくなってくるのは当たり前のことなのです。
(此処も挫折のページを参考にしてください。)

男の子の場合も本来は思春期問題は有るにはあるのだけれど、一般的に女の子程強く現れることはまれなので、私はそのこと自体に拠る問題としてはあまりお話の対象としては取り上げたことはありません。
男の子の思春期問題は一般的問題というより、個別の家庭の問題として捉えた方がいいのです。

女の子の場合に限って言いますと4、5年生位までだいたい素直で親の言う通りに思った通りに伸び伸びと育ってくれるのですが6年生ぐらいから中学生にかけて突然言う事を聞かなくなってくると言う事があるのです。

思春期の乗り越え方は、病気ではないのだけれど病気と同じように考えるのが一番よいと思います。

だからその時期は無理をさせないで、成績が下がったら下がったで、記憶力が下がったらそのままで、決して「頑張りなさい。」とか言ってはいけません。
むしろ女の子は体を作るために全部エネルギーをそっちのほうに持ってているのでそのためにそういう障害が起こってくるので自然なことなんですよね。
だから自然なことなんで安静に乗り切っていくというのが1番いい解決方法であるということですね。

ただその次に、その時期が終わって、たった、1週間くらいの間なのですけど、突然に体調や記憶力判断力などが戻るんですよね。
以前の状態に!
その時に今まで出来なかったことが、突然元に戻って出来始める。

で、その時によく子供達が犯すミスが、(今まで出来なかったことがある日突然出来るようになったもんだから、)何でも出来るような錯覚にとらわれて部活を2つに増やしたり、お稽古事を3つ、4つするとかね、塾を3個くらい行くとか、めちゃくちゃなことを言い出したりやりだしたりします。
それでその子の言う通りやらせてしまうと、子供がオーバーワークの状態になって、自分で自滅してしまう。
自滅して思春期の状態のときに出来ていたぐらいの60%がその子の実力になってしまうのです。

その時に子供の思い込みでなくって、一つ一つ完全に出来ることを始めようと、思春期に入る前の常態より増やさない事がコツで、「まず思春期に入る前に戻そうね。」とか言ってオーバーワークを避けると、思春期前の最高に状態に戻す事が出来ます。

突然体調が戻って何でも出来るような気がするのですが、元の一生懸命勉強していた状態に戻るだけであってそれ以上のことは本当は出来ないんですよね。
だからそういう時に本人がやる気になってやろうやろうとするところを1本に絞りこんであげるとやろうという気持ちと自分がまたできるようになってやろうという気持ちと体が回復したのがうまくいってすごくそこで一気に伸びることができる。
そのタイミングは1週間位から10日間位が勝負なんですけどね。

小学5,6年生から中学3年生までの時期は女の子は色々と動揺して一番アドバイスをしてあげなければならない時期なのですが、困ったことに思春期潔癖症候群という大人の男性を毛嫌いする時期でもあるのです。
しかし生理的には女性の体を作っている時期でもあるので、若い男の子に対しては興味を持って接する時期でもあります。歳の離れた大人の男性に対してはすごく嫌悪感を感じる。
だから「パパ、汚い!臭いから寄らないで。」とか、その時期すごく父親は娘から虐げられるんですね。
すごく毛嫌いされるんですね。「そばに寄らないで」とかね。その時期は母親など、目上の女性がフォローに入ってやらないといけません。

それから思春期の時にやってはいけないことがもう一つあって、歯列矯正というのは早い時期か遅い時期にするのはいいのですが、決して思春期の時期には絶対やらないでくださいね。
歯列矯正するだけで集中力や記憶力が60%までおちますからね。
あれは常に歯に異物を貼り付けた状態なんで、あれで成績下がるのは普通なんですよね。だから思春期で60%にさがるのに、さらに歯列矯正でさらに60%に下がると大変下がってしまうことになるので。
歯列矯正を思春期のときにしてしまって、結構道を踏み外した子がいるんですよね。ものすごくピアノうまいし勉強もできるしという万能な子が5、6年生の時に歯列矯正をすると言う事で私としてはだいぶ反対したんだけど、もう始めたし2,3ヶ月で終わるからといって親が言ってそのまま強行したのですが、2、3ヶ月どころか、結局2,3年掛かってしまった。
それで結局、成績もピアノも全然集中できず、全部だめになった。
勿論、私は、歯列矯正を、「やっては駄目だ!」といっているわけではなく、「タイミングの悪い時期があるんで、その時期をはずせば大丈夫です!」・・と言っているだけなのですけれどね。
高校生位になってやるとかね、大学生位になってやるとか。
大学生の場合は後受験とかないですからね。

アメリカの方などは大人になってやる方が多いですよね。
「ある愛の歌」の女の子がオーディションで主役に合格した時、八重歯だから歯列矯正をしなければ駄目だといわれて、「じゃあ、降りる。」と言って結局歯列矯正しないまま主役で出ています。

私としては歯列矯正より鼻炎の治療をきちんとやってもらいたい。
鼻の通りが悪いと頭の能力(記憶力や判断力、集中力)がやはり60%ぐらいまで落ちるのです。
そちらの方がよほど怖い。
すっかり年を取ってしまった私にとっては、今(最早若くなくなった今)では、記憶力どころではなく鼻の通りが悪くなると、血圧が20ぐらいは上がってしまう。
熟年の死因の一つにも数えられる無呼吸症も鼻炎によっておこることが分かっているし、それ以上に夜眠れない摂眠障害が起こってしまう。
熟年の話はともかくとして、いずれにしても年齢的にその時期を乗り越えると精神的に安定してくる。
しかし、自分がライフワークとして何をやりたいかとか何をしたいかが見えてくるのは、(例え中学1年生位で思春期を乗り超えたとしても)いつも言うように高校2年生以降になります。
それまでは社会を見れないので夢や周りの意見に振り回されるようです。

そのままお話しは「夢の正しい持ち方」と「躾のポイント」のお話へ進みました。
後は、別のお話になるので、Pageをあらためます。
では、ご清聴ありがとうございました。
質問タイムに入りましょう。